ピコレーザーのダウンタイムはどのくらい? 患者に伝える期間の目安と施術後の過ごし方
美容医療に用いられるピコレーザーは、シミやたるみ、ニキビ跡などの幅広い肌悩みにアプローチできる施術方法です。
従来のナノレーザーと比較して熱による肌への負担を抑えられるため、ダウンタイムも短くなりやすいとされています。ただし、ピコレーザーの施術方法によってダウンタイムの目安は異なるため、事前に期間や施術後の過ごし方について患者へ説明しておくことが重要です。
美容クリニックの院長や従業員のなかには「ピコレーザーのダウンタイムはどれくらいの期間を目安に伝えるとよいか」「施術後の過ごし方で患者に気をつけてもらうことはあるか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ピコレーザーの施術によるダウンタイムの目安と施術後の過ごし方について解説します。
なお、ピコレーザーの施術前後に行うケアについてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
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ピコレーザーの施術によるダウンタイムの目安
ピコレーザーの施術によるダウンタイムには個人差がありますが、一般的に1日~1週間程度が目安とされています。
ただし、ピコレーザーには大きく分けて3つの施術方法があり、レーザー照射の出力によっては赤みや腫れが落ち着くまで2週間程度かかる場合もあります。
▼ピコレーザー施術方法別のダウンタイムの目安(※)
施術方法 |
ダウンタイムの目安 |
ピコトーニング |
1~3日程度 |
ピコフラクショナル |
1~3日程度 |
ピコスポット |
1~2週間程度 |
ピコトーニングは、低出力のレーザーを顔全体に照射してメラニン色素を少しずつ分解する施術方法です。レーザー照射の出力が小さいことからダウンタイムがほとんど発生しない場合もあります。
ピコフラクショナルは、レーザーを点状に照射して皮膚の真皮層を刺激することにより、肌の再生を促す施術方法です。低出力でレーザーを照射する場合のダウンタイムは1~3日程度と短いですが、出力が大きくなると落ち着くまで数日かかることがあります。
ピコスポットは、レーザーをピンポイントで照射してメラニン色素を粉砕する施術方法です。ピコトーニングやピコフラクショナルよりも出力を大きく設定することがあるため、ダウンタイムは1~2週間ほどが目安となります。
なお、ピコレーザーによる施術方法の種類についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
※個人差があります。詳しくはメーカーにお問い合わせください。
ピコレーザーがダウンタイムを抑えやすい理由
ピコレーザーは、従来のナノレーザーと比べて照射時間(パルス幅)が小さいことから、ダウンタイムを抑えやすい施術方法といえます。
ナノレーザーでは、1発の照射時間がナノ秒(10億分の1秒)となるのに対して、ピコレーザーはピコ秒(1兆分の1秒)での照射が可能です。ナノ秒とピコ秒では、レーザーの照射による熱の影響範囲やメラニンを粉砕する作用が異なります。
▼熱による周辺組織の影響
ナノ秒では、ターゲットの組織外にレーザーの熱と熱膨張による応力が広がっていきます。一方のピコ秒では、ごく短い照射時間で照射することによりターゲット内に熱と熱膨張による応力を閉じ込めることが可能です。ターゲットの組織外へ熱が広がりにくくなるため、肌へのダメージを抑えやすくなります。
▼メラニンへの作用
また、ナノ秒のレーザーは、ターゲットが光を吸収することによって発する熱(光熱作用)によってメラニンを破壊します。ピコ秒の場合では、光音響作用によって生じる衝撃波でナノ秒以下のレーザーよりもメラニンを小さく粉砕できるため、代謝処理を早めることが可能です。
このように、熱による肌へのダメージを抑えてメラニンの代謝処理が早くなることで、従来のレーザーと比較してダウンタイムを短くできます。
ピコレーザー施術後の過ごし方
ピコレーザーの施術後は、患部の炎症や色素沈着を防ぐために肌のケアを行うことが大切です。患者に対して説明しておく内容には、以下が挙げられます。
①患部に刺激を与えないようにする
ピコレーザーの施術後は、患部に刺激を与えないようにします。
レーザーで照射した患部はデリケートな状態となっているため、摩擦や刺激の強い化粧品を使用すると炎症が起こる可能性があります。できるかぎり刺激を与えないように日常生活で気をつけておくことが重要です。
▼患者に伝えておく注意事項
- 洗顔やメイクの際に肌を強くこすらない
- スクラブやピーリングによるスキンケアは控える
- かさぶたを無理に剥がさない など
また、ピコスポットで高出力のレーザーを照射した場合には、患部の状態に応じて保護テープを貼ることも検討する必要があります。
②紫外線対策や保湿ケアを行う
肌の紫外線対策と保湿ケアを行うことも欠かせません。
ピコレーザーを照射した患部は、紫外線によるダメージを受けやすくなっています。紫外線を浴びると色素沈着による“戻りジミ”が発生しやすくなるため、外出する際には肌を守るための対策が必要です。
▼紫外線対策の例
- 帽子や日傘を使用する
- 低刺激の日焼け止めを塗る など
また、ピコレーザーの施術後は肌が乾燥しやすいことから、摩擦や紫外線のダメージを受けやすくなったり、ターンオーバーが乱れてメラニンの代謝処理が遅くなったりする可能性もあります。肌への刺激が少ない保湿剤を使用して乾燥を防ぐことが大切です。
戻りジミについてはこちらの記事で解説しています。
③処方した内服薬・外用薬をきちんと使用する
美容クリニックによっては、ピコレーザーの施術後に内服薬・外用薬を処方することがあります。
内服薬や外用薬は、患部の炎症を抑えたり、肌のターンオーバーを促進して色素沈着を防いだりすることを目的に使用します。
処方する際は、患者に対して内服薬・外用薬の効能や使用方法を説明するとともに、忘れずに使用するように伝えておくことが重要です。
なお、ピコレーザーの施術後に処方する内服薬・外用薬についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、ピコレーザーのダウンタイムについて以下の内容を解説しました。
- ピコレーザーの施術によるダウンタイムの目安
- ピコレーザーのダウンタイムを抑えやすい理由
- ピコレーザー施術後の過ごし方
ピコレーザーは、1兆分の1秒というごく短い照射時間でターゲットにアプローチできるため、肌へのダメージを少なくしてダウンタイムを抑えられます。
施術方法やレーザー照射の出力、照射範囲などによってダウンタイムは異なりますが、数日~1週間程度が目安といえます。
安心して施術を受けてもらえるように、ダウンタイムの目安や施術後の過ごし方について分かりやすく説明しておくことが重要です。
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