シミ治療におけるレーザー機器の種類と施術時の注意点
シミ治療における代表的な施術方法に“レーザー”があります。
美容医療で使用されるレーザー機器にはいくつか種類があり、シミを取り除く仕組みや波長帯、ダウンタイムなどが異なるため、患者に対して分かりやすく説明できるようにしておくことが重要です。
この記事では、シミ治療に用いられるレーザー機器の種類とそれぞれの特徴、施術時の注意点について解説します。
なお、シミの原因についてはこちらの記事で解説しています。
シミ治療に有効なレーザー治療機器についてはこちらの資料で詳しく解説しています。
目次[非表示]
- 1.シミ治療に用いられるレーザー機器の種類
- 1.1.➀Qスイッチレーザー
- 1.2.②炭酸ガスレーザー
- 1.3.③ピコレーザー
- 2.レーザーによるシミ治療の施術を行う際の注意点
- 3.まとめ
シミ治療に用いられるレーザー機器の種類
美容医療におけるシミ治療では、主に3つのレーザー機器が使用されています。
➀Qスイッチレーザー
Qスイッチレーザーは、シミにレーザーを照射してメラニン色素にアプローチする施術方法です。
ナノ秒(10億分の1秒)のレーザーを照射して光がターゲットに吸収される際に発生する熱エネルギーによって、シミの元となるメラニン色素を破壊します。
皮膚の表面を傷つけずにメラニン色素のみを破壊するため、ダウンタイムは1~2週間ほど(※)と短くなります。
Qスイッチレーザーには、光の波長帯が異なる3つの種類があり、シミの濃さ(皮膚内の深さ)に合わせて使い分けることが可能です。
▼Qスイッチレーザーの種類
種類 |
波長帯 |
Qスイッチ・ヤグレーザー |
532nm・1064nm |
Qスイッチ・ルビーレーザー |
694nm |
Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー |
755nm |
532nmの波長帯は、皮膚の表層にあるメラニン色素に反応することから、黒色や茶色のようなシミの除去に適しています。1064nmの波長帯は、皮膚の深層にあるメラニン色素に反応しやすく、青色や灰色がかったシミの除去に使用されます。
また、694nm・755nmの波長帯は、血液中のヘモグロビンに対する光の吸収率が低くなります。光の吸収度が低くなるほど血管へのダメージを抑えられるため、ダウンタイムも短くなりやすいことが特徴です。
▼Qスイッチレーザーによるシミ治療
対応するシミの種類 |
ダウンタイムの目安 |
濃いシミ・薄いシミ・平らなシミ |
1~2週間程度(※)
|
※個人差があります。
②炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーは、波長が10,600nmとなる遠赤外線領域の光を照射して、シミがある皮膚の組織を取り除く施術方法です。
炭酸ガスには、皮膚に含まれる水分がレーザーの光を吸収する際に、熱エネルギーを発生させて蒸発する作用があります。この蒸発作用によって皮膚の表面を削る仕組みとなるため、盛り上がりのあるシミの除去に適しています。
▼炭酸ガスレーザーによるシミ治療
対応するシミの種類 |
ダウンタイムの目安 |
盛り上がりのあるシミ |
1~3ヶ月程度(※)
|
※個人差があります。
③ピコレーザー
ピコレーザーは、1発の照射時間がピコ秒(1兆分の1秒)のレーザーを照射して、メラニン色素にアプローチする施術方法です。
ターゲットが急速な熱膨張を起こす際に発生する衝撃波(光音響作用)によって、シミの元となるメラニン色素を小さく粉砕する仕組みとなります。
ナノ秒以下のレーザーと比較してメラニン色素の代謝処理を早められるほか、患部への熱によるダメージを抑えやすいことが特徴です。
また、ピコレーザーには532nm・755nm・1064nmといった3種類の波長帯を選択できるようになっており、表層から深層にある幅広いシミに対応できます。レーザーの出力や照射方法によってダウンタイムの目安は異なります。
▼ピコレーザーによるシミ治療
対応するシミの種類 |
ダウンタイムの目安 |
濃いシミ・薄いシミ・平らなシミ |
1日~2週間程度(※)
|
なお、ピコレーザーの施術方法やダウンタイムについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
※個人差があります。
レーザーによるシミ治療の施術を行う際の注意点
シミ治療でレーザーによる施術を行う際の注意点は、以下のとおりです。
▼注意点
- 複数回の施術が必要になる場合がある
- 施術後のケアについて患者への指導が必要
- 患者の健康状態によっては施術を行えない場合がある
レーザーによるシミ治療は、1回の施術で効果を実感できるケースが一般的です。しかし、メラニン色素が肌の深層部まで到達している場合や、低出力でレーザーを照射する場合には、1回の施術でシミを除去できない可能性があります。施術後の経過によっては、数回の施術が必要になります。
また、レーザーによる施術後は、紫外線や摩擦によるダメージを受けやすいほか、炎症後の色素沈着によって“戻りジミ”が発生することがあります。施術後には、紫外線対策やスキンケアを欠かさず行うように患者へ指導することが必要です。
さらに、患者の健康状態によってはレーザーによる施術を行えない場合もあるため、事前のカウンセリングで現在の治療状況や既往歴、体調などを確認しておくことが重要です。
戻りジミの予防策やピコレーザーによる施術ができない人については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、レーザーによるシミ治療について以下の内容を解説しました。
- シミ治療に用いられるレーザー機器の種類
- レーザーによるシミ治療の施術を行う際の注意点
シミ治療に用いられる代表的なレーザー機器には、Qスイッチレーザー・炭酸ガスレーザー・ピコレーザーの3つがあります。シミの色味・形状に応じて、使用するレーザー機器の種類や波長帯を使い分けることがポイントです。
なかでもピコレーザーは、従来のQスイッチレーザーと比べて照射時間が極めて短く、熱による肌のダメージを抑えながらシミへ効率的にアプローチできます。
サイノシュアーの『PICOSURE®』は、世界初のアレキサンドライトによる波長を搭載したピコレーザー機器です。755nmのレーザー光をピコ秒で照射することで、皮膚への熱ダメージを抑えながらメラニン色素を的確に捉えます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。