ピコレーザーは戻りジミにも対応できる? 発生の原因と予防策について解説
レーザーによるシミ取り治療を行ったあと、一部の患者に見られる症状の一つに“戻りジミ”があります。戻りジミは一般的に一定期間が経過すれば自然に消えるとされていますが、なかには戻りジミが消えないケースも見られます。
現在レーザー治療を行っている、または新規で導入を考えている美容クリニックの担当者のなかには、「戻りジミはどのようなメカニズムで発生するのか」「戻りジミの予防や治療法はないのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、戻りジミが起きる原因や予防策、さらには戻りジミに有効な美容医療レーザーについて解説します。
ピコレーザーによるシミ治療については、こちらの資料をご覧ください。
戻りジミとは
戻りジミとは、レーザー照射によるシミ取りの施術を行ったあと、再び肌にシミが現れる症状のことです。“炎症後色素沈着(PIH)”とも呼ばれます。
戻りジミの発生有無には個人差がありますが、一般的にレーザー治療後の2週間~1ヶ月程度で一時的に起こることがあるとされています。
通常であれば肌のターンオーバーとともに数ヶ月程度で戻りジミは自然に消えますが、患者によって色素沈着が消えないケースも見られます。
レーザー治療後に戻りジミができる原因
戻りジミができる原因には複数の要素が考えられます。基本的にはレーザー治療後の肌に過度な刺激を与えてしまうことが挙げられます。
不十分な紫外線対策
紫外線対策を十分に行わなかったことが原因で、戻りジミが発生する可能性があります。
皮膚には紫外線から身を守る仕組みが備わっており、その一つに皮膚の色素細胞がつくるメラニンがあります。メラニンは紫外線を吸収して肌への影響を少なくする役割を持ちます。
シミ取りの施術を行うと、レーザー照射による熱によって肌のバリア機能が低下しやすい状態となります。その状態で紫外線を浴びると、肌を保護するためのメラニンが生成されて戻りジミが現れることがあります。
出典:環境省『紫外線環境保険マニュアル 2020』
患部への摩擦
レーザー照射を行った患部に刺激を与えると、炎症が起きて色素沈着による戻りジミが発生する原因になります。
例えば、熱いお湯で患部を洗ったり、指でこすったり、かさぶたを無理やり剝がしたりするなどの行為は肌表面への刺激につながります。
喫煙や過度な運動
喫煙や過度の運動によって活性酸素が増えることにより、肌のメラニン生成が促進されて戻りジミが発生する可能性があります。
活性酸素の過剰な生成を防ぐには、食事や睡眠、喫煙といった生活習慣を見直すほか、施術後の過度な運動を控えることが必要です。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット『活性酸素と酸化ストレス』
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レーザー治療による戻りジミの予防策
戻りジミの発生を防ぐには、施術後のスキンケアや内服薬・外用薬の処方によって肌のコンディションを整えることが重要です。レーザー照射の範囲や患部の状態に応じたアフターケアを行う必要があります。
①スキンケア
レーザー治療後は、肌に赤み・痛みなどの炎症が起き、軽い火傷のような状態になることがあります。ダウンタイム中は患部に刺激を与えないようにするとともに、スキンケアを行うことが重要です。
▼スキンケアの例
- 紫外線対策
- 化粧水や乳液による保湿
- こすりすぎない洗顔 など
また、レーザー照射でシミ取りを行ったあとは、1週間ほどかさぶたの状態が続きます。かさぶたが自然に剥がれるまで専用のシールを貼ったり、保湿剤で幹部を保護したりする対策が必要です。
②内服薬
レーザー治療後の戻りジミを予防するために、クリニックで内服薬を処方する方法もあります。
▼レーザー治療のアフターケアに用いられる主な内服薬
内服薬 |
効能 |
トラネキサム酸 |
メラニン生成の抑制 |
ビタミンC |
抗酸化作用、メラニン生成の抑制 |
ビタミンE |
抗酸化作用 |
内服薬を服用することで、戻りジミの原因となるメラニンの生成を抑制したり、排出を促したりできます。また、肌のコンディションを整えるために、レーザー治療の施術前に準備期間を設けて内服薬を処方するケースもあります。
③外用薬
レーザーで照射した患部に直接塗布する外用薬を処方することも、戻りジミを予防する対策の一つです。
▼レーザー治療のアフターケアに用いられる主な外用薬
内服薬 |
効能 |
ハイドロキノン |
メラニン生成の抑制 |
トレチノイン |
ターンオーバーの活性化 |
メラニンの生成を抑制したり、皮膚のターンオーバーを促したりする効能がある外用薬を肌に塗ることで、戻りジミの予防と治療につながります。患者の肌質や施術後の経過を見ながら処方する必要があります。
出典:厚生労働省『美容医療の診療指針(令和3年度版)報告』
ピコレーザーは戻りジミの予防・治療にも使われる
ピコレーザーは、戻りジミの予防や治療にも活用できます。照射時間が1兆分の1秒と短く、従来のナノレーザーより小さい色素や皮膚の奥にある色素が破壊できる治療法です。
そのため、戻りジミが消えず色素沈着が起きている場合でも、ピコレーザーで照射を行うことで改善できる可能性が期待できます。
また、レーザー照射による熱が組織外に広がりにくく、患部へのダメージを押さえながら的確に色素沈着の元となるメラニン色素へアプローチを行うことが可能です。これにより、少ない治療回数で戻りジミの除去が期待できます。
なお、ピコレーザーとヤグレーザーの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、レーザー治療による戻りジミについて以下の内容を解説しました。
- レーザー治療後に戻りジミができる原因
- レーザー治療による戻りジミの予防策
- 戻りジミの予防・治療に使われるピコレーザー
レーザー治療による戻りジミの発生有無には個人差がありますが、主に不十分な紫外線対策や患部への摩擦、喫煙・過度な運動などによって起こるとされています。
戻りジミを予防するには、施術後に保湿や紫外線対策などのスキンケアを行うとともに、内服薬・外用薬を処方して肌のターンオーバーを促すことがポイントです。
また、戻りジミの予防・治療には、照射秒数がナノ秒よりも短いピコレーザーを用いることも一つの方法です。
サイノシュアーの『PICOSURE®』は、色素沈着の治療に適した755nmの波長による照射を行える業界唯一のピコレーザーです。肌への熱ダメージを抑えながら、戻りジミのような色素沈着にアプローチできます。
ピコレーザーによるシミ治療については、こちらの資料をご覧ください。