ピコレーザーの施術前後に行うケアとは? 押さえておきたい注意点
ピコレーザーによる肌悩みの治療は、従来のナノレーザーに比べて肌への負担が少ないとされています。しかし、人によって赤みやピリピリといった痛みが現れることがあります。
シミやたるみ、ニキビ跡などの治療を検討している人のなかには、ピコレーザーの施術に対して不安を持つ人もいると考えられます。
美容クリニックを運営する担当者のなかには、「ピコレーザーの治療を希望する患者にどのようなケアを勧めたらよいか」「施術後に伝えておく注意点はあるか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ピコレーザーの施術前後に行うケアや注意点について解説します。
なお、ピコレーザーの施術ができない人についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
目次[非表示]
- 1.ピコレーザーの施術には肌のケアが大切
- 2.ピコレーザーの施術前に行うケア
- 2.1.①内服薬や外用薬の処方
- 2.2.②クレンジングと洗顔の実施
- 3.ピコレーザーの施術後に行うケア
- 3.1.①肌の保湿
- 3.2.②紫外線対策
- 3.3.③生活習慣の改善
- 3.4.④内服薬や外用薬の処方
- 4.ピコレーザーの施術に関する注意点
- 5.まとめ
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ピコレーザーの施術には肌のケアが大切
ピコレーザーによる炎症や色素沈着を防いで効果を高めるために、施術の前後で肌のケアを行うことが大切です。
ピコレーザーでは、“ピコ秒(1兆分の1秒)”という短い照射秒数でレーザーを当てて、衝撃波によるメラニン色素の粉砕によって治療を行ないます。
従来のナノレーザーよりもメラニン色素を小さく破壊でき代謝処理が早いことから、少ない施術回数で効果的にシミやそばかす、シワ、ニキビ跡などにアプローチができます。
ただし、肌の状態や照射の程度によっては、肌の炎症、色素沈着などの副作用が起こるリスクがあります。
▼ピコレーザー施術後の経過(※)
経過 |
肌の状態 |
施術直後 |
患部に赤み・腫れが現れたり、火照りや痛みを感じたりする |
施術後2~3日 |
赤みや腫れ、痛みが引き、かさぶたができ始める |
施術後1~2週間 |
かさぶたが徐々に剝がれ始める |
施術後1ヶ月 |
かさぶたが完全に剥がれる
色素沈着によって戻りジミが現れる場合があるが、通常は自然に消える
|
ピコレーザーの施術前後で肌のケアを行うことで、赤みや腫れなどの炎症を抑えてダウンタイムを短くできる可能性があります。
なお、戻りジミの原因や予防策についてはこちらの記事をご確認ください。
※個人差があります。詳しくは美容クリニックやメーカーなどにお問い合わせください。
ピコレーザーの施術前に行うケア
ピコレーザーの施術に伴う赤み・腫れなどの炎症を抑えて色素沈着を防ぐために、施術前に肌のコンディションを整える必要があります。
①内服薬や外用薬の処方
ピコレーザーの施術前に一定の準備期間を設けて、内服薬や外用薬を処方する方法があります。
▼ピコレーザーの施術前に処方する主な内服薬・外用薬
内服薬 |
外用薬 |
トラネキサム酸
ビタミンC
ビタミンE
|
ハイドロキノン
トレチノイン
|
トラネキサム酸やビタミン剤には、色素沈着の元となるメラニンの生成を抑えたり、排出を促したりする働きがあります。
また、ハイドロキノンやトレチノインなどの外用薬は、メラニンの生成を抑制したり、皮膚のターンオーバーを促したりする効能があるとされています。
施術前に服用または患部に塗ることで、色素沈着(戻りジミ)を予防できる可能性があります。
出典:厚生労働省『美容医療の診療指針(令和3年度版)報告』
②クレンジングと洗顔の実施
ピコレーザーによる施術を行う直前には、クレンジングと洗顔を行ってもらう必要があります。
クレンジングと洗顔でメイク・皮脂を落としておくことで、ピコレーザーの照射が肌の奥まで届いて効果が発揮されやすい状態になります。また、肌を清潔にする目的もあるため、メイクをせずに来院した方にもクレンジングと洗顔を行ってもらう必要があります。
ピコレーザーの施術後に行うケア
ピコレーザーの施術後は、レーザーによる衝撃波の影響によって肌が敏感な状態となっているため、乾燥や紫外線から肌を保護することが重要です。
①肌の保湿
ピコレーザーの施術後は、肌を十分に保湿します。
レーザーで照射した患部は軽いやけどのような状態となり、肌が乾燥しやすくデリケートになっています。このような状態で肌に刺激が加わると炎症が起こる可能性があるため、保湿をして肌に負担をかけないようにすることが重要です。
▼スキンケアの方法
- 洗顔・クレンジングの際に肌を強くこすらないようにする
- 肌への刺激が少ない化粧水や保湿クリームを使用する
- 赤みや腫れがある間はメイクを控える
- 保湿パックを使用する など
肌への刺激を防ぐために、ピーリングの効果がある洗顔料を使用したり、マッサージで皮膚をこすったりしたりしないように注意が必要です。
②紫外線対策
肌の炎症や色素沈着を防ぐには、紫外線対策を行うことも欠かせません。
ピコレーザーの施術後は肌のバリア機能が低下しており、紫外線によるダメージを受けやすい状態となっています。紫外線を浴びるとメラニンが生成・蓄積されて戻りジミが発生しやすくなります。
戻りジミを防ぐために、外出時には紫外線対策を行うことが重要です。
▼ピコレーザーの施術後に行う紫外線対策
- 日焼け止めの塗布
- 日傘の使用
- 保護テープの使用 など
なお、マスクの着用は肌の摩擦につながりやすいため、赤みや腫れがある状態では使用を避けるほうがよいと考えられます。
出典:環境省『紫外線環境保健マニュアル2020』
③生活習慣の改善
施術後から1ヶ月程度は生活習慣を整えることが望ましいといえます。
規則正しい生活習慣は肌のターンオーバーを促進させることから、ピコレーザーによる戻りジミの防止につながります。また、食生活や睡眠は美肌を保つうえでも重要となります。
▼望ましい生活習慣の例
- バランスの取れた食生活
- 十分な睡眠時間
- 適度な運動 など
ただし、過度の運動は活性酸素を過剰に増やすことにつながり、色素沈着の元になるメラニンの生成によって戻りジミができる可能性があるため、注意が必要です。
出典: e-ヘルスネット『活性酸素と酸化ストレス』
④内服薬や外用薬の処方
患部の状態によっては、施術後に内服薬や外用薬を処方することもあります。
▼ピコレーザーの施術後に処方する主な内服薬・外用薬
内服薬 |
外用薬 |
トラネキサム酸
ビタミンC
ビタミンE
|
ハイドロキノン
トレチノイン
|
上記の内服薬や外用薬は、肌の炎症を抑えたり、色素沈着の元になるメラニンの生成を抑制したりする効能があります。ピコレーザーの照射回数や度合いを踏まえて処方することが重要です。
出典:厚生労働省『美容医療の診療指針(令和3年度版)報告』
ピコレーザーの施術に関する注意点
施術前後に肌のケアを十分に行わなかった場合、ピコレーザーの効果が十分に発揮されない可能性があります。正しいセルフケアの方法や施術に関する注意点に関しては、治療を開始する前に患者へ伝えておくことが必要です。
▼ピコレーザーの施術に関する注意点
- 肌に摩擦・刺激を与えることはしない
- かさぶたを無理やり剝がさない
- 赤みや腫れがある場合はメイクを控える
- 入浴時の長湯は避ける など
レーザー照射によってできるかさぶたは、皮膚が再生される過程で起きる正常な反応です。無理やり剥がすと肌トラブルや色素沈着につながる可能性があるため、自然に剥がれるのを待つことが重要です。
また、「アウトドアや野外イベントなどで紫外線を浴びる機会があるか」「フルメイクをしたい日があるか」などをヒアリングして、ダウンタイムの目安を患者へ伝えておくことも必要といえます。
まとめ
その記事では、ピコレーザーの施術前後で行うケアについて、以下の内容を解説しました。
- ピコレーザーの施術に伴う肌のケア
- ピコレーザーの施術前後に行うケア
- ピコレーザーの施術に関する注意点
ピコレーザーは、従来のナノレーザーに比べて肌への負担が少なくダウンタイムが短くなりやすいものの、施術に伴って赤みや腫れ、色素沈着などが起きる可能性があります。
施術の前後では、内服薬・外用薬の処方や保湿と紫外線対策などを行い、肌のコンディションを整えたり、レーザー照射による炎症を抑えたりすることが重要です。また、安心して治療を受けてもらえるように、患者によるセルフケアの正しい方法や注意点についても説明しておくことが欠かせません。
サイノシュアーの『PICOSURE®』は、色素沈着の治療やタトゥー除去などに適した755nmの波長による照射を行えるピコレーザーです。皮膚へのダメージを抑えながら、治療箇所にピンポイントでアプローチすることが可能です。
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